中国武術を15年以上、教えてきて一つ難儀に思っている事がある。
それは、年数的には中級者とも言える方達のほとんどが、私が満足できるだけの基本の練習を積んでいないという事だ。
ひどい人になると、基本功や基本の套路(型)を「忘れた。」という人もいるので、笑うに笑えない(苦笑)。
中国武術にとっての基本とは、中国武術独特の体を動かす仕組みを作る事にあると思う。
この体を動かす仕組みを作るのには、地道に時間をかけて作っていくしかない。またある程度、出来上がったとしても、更に高性能なものに仕上げていく必要がある。
皆、基本を学んでいる時は、それなりに熱心なのだが、套路(型)や応用を学びだすと、その後はほったらかしという方が多いようだ。
当然だが、ほったらかしで上手くなるのは、一部の天才だけだろう。
時期を置いて、基本が身に付いているのを前提に、今度は「力の発し方」を教えてみる。
皆、一生懸命に発しているつもりのようだが、体を動かす仕組み自体ができていないので、ただ力いっぱい動いているだけである。
更に時期を置いて、今度は対人練習で技法を教えてみる。
やはり基本(体を動かす仕組み)ができていないので、その技法の要求する動きや変化ができない。
わざわざ速く動く必要のないところで、無理に速く動いたり、相手に差し込まれないように、無理やり体重をかけて押し込んだりしている人をよく見かける。
以外に思われるかもしれないが、太極拳の初級から中級にかけての戦術は、一般人には真似のできない瞬足の動きとその変化にある。
その瞬足の動きを身に付けるためには、太極拳が要求する体を動かす仕組みが形成されている必要があるだろう。
そのためには、やはり基本の積み重ねと本人の努力や工夫が必要になる。
私自身は、既に教えているので、各自の判断に任せるが、やはり年数に伴った功夫を身に付けていきたければ、【練習の秘訣 中級編】などを参考に、自分なりの練習カリキュラムを考えてみては、いかがだろうか。