太極拳の歴史については、よく質問を受けますが、実際のところ太極拳がいつ始まり、誰が創ったのかは、現在でもはっきりしておりません。
明確な年代としては、今から160~170年前に陳家太極拳の伝承者である陳 長興 に楊家太極拳の創始者である楊 露禅 が学び、その後各派の太極拳が形成されていきました。
当会の考えでは、少林拳系や長拳系などの北派拳法に刀術や棍術、槍術などの技法や身法が加味され、またその過程で気功・道教・仏教、儒教などの理論や練功法が加わり、現在伝わっている各派の太極拳が出来上がってきたのだと思います。
つまり、太極拳は最初から元々あった訳ではなく、人の手によって代々受け継がれ、少しづつ工夫されてきたものであり、必要以上に神秘的なものではないというのが当会の考えです。
太極拳の歴史を知るのに適した書籍を こちらのページ にて紹介しております。
太極拳の効果についてもよく質問を受けます。当会の会員の経験では、まず姿勢が良くなったという話をよく聞きます。
ただし、ここでいう姿勢の良さというのは、西洋的な姿勢の良さではなく、あくまで東洋的な姿勢の良さだという事です。言い換えれば人間本来の体形を活かした姿勢と言えるでしょう。
その結果として、全身の気血の流れが良くなり、腰痛や肩こり、冷え性などの軽減や改善、また夜によく眠れるようになった等の効果があるようです。
特に冷え性の方は、冬場でも練習後は足先が冷えなくなった等の声をよく聞きます。
そして、当会の練習会の特徴としては、やはり練習後の爽快感でしょう。
当会の練習体系は、激しくはありませんが、じっくりと内功を練り込み、身体をより深部から動かすため、身体の中からじんわりと汗が吹き出し、練習後の爽快感は格別です!
当会の練習内容については、【練習内容】のページをご覧ください。
伝統拳と制定拳(簡化太極拳など)の違いについても、よく質問を受けます。
歴史的な背景としては、前述したように陳 長興に学んだ楊 露禅が故郷の永年県や北京で教授した事により、呉派、武派、孫派などの太極拳が生まれました。これらの伝承の太極拳は基本的に伝統拳と言えると思います。
それに対して制定拳は、ここ50~60年の間に健康や表演を目的に新しく制定された太極拳の事を言います。
ただし、単純に套路(型)が新しいか古いかという違いだけではなく、仮に伝統拳を学んでいたとしても、伝統の段階的な練習体系が装備されているかどうか、また特に内功について、その指導者がどの程度まで理解して伝えているかが一番問題だと思います。
言い換えれば、制定拳を伝えている指導者でも、内功について深い理解と功夫をお持ちであれば、良い太極拳を学べると思います。
内功については、【太極拳の内功について】のページをご覧下さい。
伝統拳の拳種については、【拳種紹介】をお読み下さい。
こちらで紹介する記事は、以前ブログにアップしたものですが、多くの方に閲覧され好評価を受けました。これから太極拳を学ぶ方の参考になれば幸いです!
太極拳って、どんな拳法?と問われれば、私は身体を労りながら、身体を鍛えていく拳法と答える。
もう少し深く答えるならば、細心の注意をはらいながら身体を練り、細心の注意をはらいながら身体を強くしていく拳法と答える。
実際、そうして鍛えていかなければ、長い年月練習を続けていく事ができないからだ。
そして、更に付け加えるならば、身体内面に生じた圧力である身体圧(当会による造語)を運用し、活用していく拳法と答える。
太極拳は一般的な力(筋力)ではなく、身体圧を力の根源とする。そして、この身体圧を如何にロスなく活用していくかに各派の工夫があり、沈肩墜肘や虚領頂勁等の様々な口訣や要訣が存在する。
太極拳がゆっくりと動く理由は、このように細心の注意をはらいながら練習をする必要があるからだ。
最初から早く動いていては、原理も質も全く異なったものになってしまう。
こういった練習を可能にしていくためには、意念や感覚といったものが必要となってくる。
意念も感覚も物理的には存在しないものだ。その存在しないものを具体的かつ現実的なものとして養っていかなければならない。 だから太極拳の習得には時間がかかる訳だ。
套路を覚えただけでは何の使い物にならないし、健康にも武術的にも大した効果は得られないだろう。また短期的な結果を求める人には向かない拳法だと言える。
ただし、練習を続けていけば、一生成長していく事はできる。また深く探究していく事で本当の面白味が出てくる。最終的には噛めば噛むほど味が出てくる拳法と言えるでしょう。
2016年5月24日記す